心と体からみるパニック障害の原因と対策
2020/05/11
〜心と体からみた原因と対策〜
パニック障害
一度パニック障害になると、
「死ぬかもしれない、、、」と
強烈な恐怖を感じます。
その恐怖はとても強烈なもので、
「またいつなるかわからない、、、」
「またなったらどうしよう、、、」と
予期不安が強くなります。
中には一時的に外出もできなくなる方もいます。
パニックになるきっかけとしては、
乗り物、混雑している場所、エレベーターなど狭い場所、広い場所、騒がしい場所など
人によって特定の場所で不安を感じることが特徴です。
また、
パニックを繰り返すと、「くるぞ、くるぞ」と前兆に気づくようになり、
より焦るようになる方もいます。
パニック障害は薬物療法や認知行動療法が主な方法となっていますが、
実際は何年も苦しんでいる方が多いのが現状です。
ここでは、
そんなパニック障害の原因と対策を心と体の側面からわかりやすくお伝えしていきます。
【パニック症状】
症状としては、
動悸、過呼吸、冷や汗、手足のしびれ、
吐き気、喉の違和感、みぞおちの圧迫感などが体に起きます。
【体に起きていること】
パニックになる方の体に共通していること。
それは、
“呼吸が上手くできていない”ことです。
原因として2つ。
①肋骨の動きが小さい。
呼吸して取り入れた酸素は肺に送られます。
肺は風船のような臓器です。
肺自体に筋肉はなく、自分で動くことはできません。
周りの肋骨の動き次第で肺の機能が決まります。
肋骨の動きは、
背骨の動き、首の動き、股関節の動きと連動しています。
これらは全て筋肉で連動しています。
この筋肉の硬さが肋骨の動きを制限してしまうのです。
②横隔膜の動きが小さい。
この横隔膜は、「膜」と書きますが、実際は筋肉になります。
場所はみぞおちあたりにあり、肺の底を支えるようにあります。
この横隔膜が縮まって下がることで、肺が伸びて酸素が肺に入ってきます。
その後、横隔膜がゆるんで元に戻ることで息が外に押し出されます。
この横隔膜も肋骨の内側にくっついていて、呼吸に大きく関与しています。
でも、
そもそもどうして呼吸が上手くいかなくなるのでしょうか。
それは、次の心に起きていることによって大きく呼吸が左右されてきます。
【心に起きていること】
日本語には呼吸に関する言葉がたくさんあります。
「息苦しい」「息をのむ」「息詰まる」「息が乱れる」「息をひそめる」「息巻く」「息せく」などなど。
このような言葉を使う状況は、緊張感や焦り、恐怖など心情を表している言葉達です。
パニック障害では、実際にこのような言葉が表すような状態が心に起きています。
「またなったらどうしよう・・・」(予期不安)
「やばい、、やばい、、、」
「死ぬかも・・・こわい」
このような言葉が頭の中を駆け巡ります。
そして、
パニックになることもあれば、ならないこともある。
これを繰り返します。
不安と恐怖が頭から離れません。
パニックは発作的に起きます。
発作なので、心では、
自分ではどうしようもできない、とんでもない恐怖がまた襲ってくる、と
いつも身構えている状態と言えます。
【対策方法】
《体の対策として・・・》
緊張感や恐怖という危機状態では、闘うか逃げるかをするために、体はより酸素を取り入れようとします。
すると「ハァッ、ハァッ、ハァッ」という呼吸は小さく速くなります。
同時に、
身を守るために、首がすくみ、肩に力が入り、姿勢は丸まって固まります。
呼吸に関連する筋肉が固まっています。
この呼吸に関連する筋肉をゆるめて、肋骨が十分に動ける状態にしていくことが
何より大切です。
また、中には緊張や不安などが思い当たらない方もいらっしゃいます。
そういう方は、
姿勢が前かがみ
肩が内巻きで固まっていて、
背骨、肋骨、股関節などの筋肉が縮んでいる状態のままになっていることが多く共通しています。
あまり睡眠時間をとっていない方や調理や美容師など前で作業を繰り返す方はどうしても前かがみ、肩が内巻きになってしまいます。こうした体の状態が原因でパニックを起こす方もいます。
パニックを繰り返している方に共通して言えること。
それは、
呼吸がしづらい体の癖が染み付いている可能性がとても高いのです。
しっかりと呼吸に関する筋肉をゆるめて、
呼吸を少しでも正常にできる体を作ることが大切です。
《パニック障害を緩和する2つの体のテクニック》
①胸骨(胸の真ん中の骨)を前上方に3センチ出す。
頭と背骨が真っ直ぐになり、頭を背骨で支えられるようになります。
すると、
首や背骨の筋肉で頭を支える必要がなくなるので、筋肉が楽できるようになり、呼吸がしやすくなります。
また、頭への血流もよくなり、脳が正常に働きやすくなります。
頭を背骨で支えることができたら、あとは肩から下の手はぶら下がっているだけにします。
肩の力が抜けるとさらに楽に呼吸ができます。
②口角を上げて微笑んでおく。
作り笑いでも構いません。口角を少し上げておきます。
私たちの脳は体を常に観察しています。
体の状態は脳にも影響します。
口角を上げていると、ネガティブな考えになりにくくなります。
少し実験してみましょう。
⒈何か不安なことなどネガティブなことを思い浮かべます。
思い浮かべたら、
⒉猫背でうつむいて考えその出来事を思い浮かべます。
その後、
⒊一回深呼吸をしてリセットします。
そして次は、
⒋姿勢を作って(胸骨を前上方に出して)微笑みを作って同じことを思い浮かべます。
するとどうでしょうか?
同じ出来事を思い浮かべても随分と印象が違ってくるのではないでしょうか。
《心の対策として・・・》
頭の中は、
「またいつなるのか」
「どうしよう」
「もうあの辛さは嫌だ」
と予期不安でいっぱいになっています。
こういった心の対策として2つお伝えします。
①防災訓練をしておく。
パニックは発作的なので、自分ではどうしようもない、コントロールできない、なす術がない、というイメージのままでいることで長く患ってしまいます。
そこでパニック発作を想定内にしておくことが大切です。
パニックが起きたらどうするか、どうすることができるのかを
細かく方法を考えて、書き留めておくことをお勧めします。
どうすればいいのかがわかっているか、いないかでは全く心理的な安心感が違ってきます。
②パニック発作を意識する
パニック障害はその強い発作で死への恐怖を覚えます。
その恐怖で、発作をとにかく避けたくなります。
ですが、
ネガティブな出来事は避ければ避けるほどその存在感は大きくなります。
苦手な人を避けようとすればするほど、その人の存在感は大きくなるものです。
同じように、発作を避ければ避けるほどいつまでも恐怖感は続くのです。
パニック発作を避けるのではなく、迎えるようにするのです。
「発作起こるならどうぞどうぞ」と。
「くるならこい!」と考えるようになったら、それ以降発作が出なくなっていった、という方もいらっしゃいます。
とは言え、いきなり迎えるのが抵抗ある方もいるでしょう。
そういう方は、①の防災訓練をした上で、パニック発作を迎えるようにすることをお勧めします。
【パニック障害になりやすい人】
パニック発作が出やすい人にある程度共通していることと、
その理由をお伝えします。
◎元々「やばい、どうしよう、、、」となりやすい人
→許容範囲が狭い。背景には自己肯定感が小さい傾向。
→自信が持ててなく、今まで周囲に何となく流されてきたという感覚。
◎緊張しやすい人
→体をみても首や肩がすくんで硬く緊張している。
→心理的には慌てやすく、失敗できない!!という考え。
◎周囲に敏感に気づきやすい人
→人の言葉や行動を深く考えてしまう、気にしてしまう。
→大きな音や喧騒など、外からの刺激が苦手。
◎完璧主義な人
→「こうあるべきだ」という真面目さ。
→人に頼らずに一人で抱え込むタイプ。人をあまり信用できない。
◎睡眠を削る人
→仕事、遊びでも睡眠時間を取らないで活動してしまう。
◎前で作業する仕事の人
→手を前にして長時間作業する。
→仕事の体で固まってしまう。
→呼吸が小さくなる。
◎運動しない人
→心肺機能、血流循環の波がなく、どんどんと呼吸が小さく、新陳代謝が落ちてくる。
→筋肉は縮むことしかできないので、伸び縮みさせないとどんどん縮んでいく。
→体を動かすことで脳に様々な刺激が入る。運動しないと常に同じ刺激ばかりになり、脳機能が偏ってくる。
【まとめ】
パニック障害は心理的な要素も大きいですが、生理的な体の状態が根底に大きく影響していることが言えます。
パニック障害の対策ポイントは、
“呼吸がしっかりとできる体”でいること。
そして、
心理的にも息が詰まるような状態ではなく、落ち着き、冷静でいられる自分であること。
とにかくまずは、
現状の体と心がどうなっているのかを知ることがとても大切になります。
体を整え、心を整え、お助けアイテムとしてお薬も服用していくと、パニックは落ち着いてくるでしょう。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。